96 LEGEND

根笠・岩屋観音参詣

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2010-9/3 金曜日 晴れ

仕事は代休日。思い返してみればこの夏は何処にも行っていない。

昔はこんなじゃなかったと思ってみても、迫り来るご老体の影は正直だ。

遊びに出るのが面倒くさくなっちゃ人生もおしまいだ、と自分を叱咤してみても、

こんどは・・・、

「別に行きたい所なんかねえや」 と、ナマケモノの自分が正論をひっさげて顔を出す。

やがて行き着くところは 「着て行く服がねえや」 と、かなり重度の出不精である。

かと言って家に籠ってばかりでは鬱になりかねないし、第一あのモンモンとした気分も嫌だ。

そうした面を打破するのにバイクは最適だったのだが、スクラップ屋も顔をそむけるヤブレ物。

残っているのは車しかない。丁度車検も済んで気分一新。充実気分満載。

何処でもいい、自分にとって快適な所に行ってみよう、と思い立つ。

私にとって快適な、と言えば、通行量の少ない道を通って自然がいっぱいの所に行くこと。




(写真・国道187号線沿い二鹿谷橋にて)


国道187号線は山口県岩国市と島根県日原を結んでいる幹線国道である。

瀬戸内海側の岩国市近隣の市町村から日本海側の益田方面へ行くには

一般的にこの187号線を通って行く。まだ他にも道は何本かあるが、山越えの

険しい道が多く、その点、この187号線は錦川の清流に沿って進むので平坦路が多い。

私が職業ドライバーをやっていた30年前には、この187号線も至る所で大型車離合困難な

険しい道だったが、今はもう全線拡幅され、実に快適な道になった。




(写真・二鹿谷橋より上流方向を眺める)


国道沿いに停車できるスペースを見つけて錦川を橋の上から眺めてみた。

川面に映った秋の空をボンヤリ見ていると、突然払拭するかのように大きな魚が横切った。

人間、歳を拾うと思い出ばかりが多くなるようだ。それも嫌な思い出が大部分を占めて襲ってくる。

思い出しても仕方の無いことばかり。 大きく深呼吸をしてふたたび車に乗った。




(写真・二鹿谷橋より下流方向を眺める)





(写真・岩屋観音駐車場の案内板より)


根笠地区で国道187号線を左折して錦川を渡ると、すぐに錦川鉄道の根笠駅がある

私はまだ清流線に乗ったことがない。いつかはのんびりと揺られてみたいものだと思う。


駅を通り過ぎ、美川ムーバレーの高度のある坑口橋をくぐりぬける。

美川ムーバレーは、かっての玖珂鉱山跡を家族連れ向きに観光化してある。

いつか寄ってみようと思っているものの今回もまた寄れず仕舞い。 

まぁ、この辺りには頻繁に来るつもりなので、いつかは寄れるだろう。





(写真・岩屋観音駐車場にて)


岩屋観音駐車場に車をとめ、町道を歩いて登る。

広い道なので車で上がれば良かったかなと少し後悔したが、

上は駐車禁止になっていたのでこれで良かったようだ。

参道脇にはお地蔵さまが点々と安置してあった。




(写真・参道に点々と連なる地蔵さま)





(写真・参道に立つ護聖寺の石柱)


緑の木々のなかをゆっくりと歩いて登っていくと護聖寺の石柱があった。

護聖寺は古文書にも記載があって、「曹洞宗 岩屋山 護聖寺」とある。

はるか古から続いてきた寺である。





(写真・「でかまるくん」と名付けられている大水車)




大水車の所に「岩屋観音窟」と小さな案内板があった。

この案内板が無かったらたぶんわからないだろうと思うと、

まだ大きな案内板でもいいかなと思った。





この観光水車では実際にそば粉をひいて、水車脇にある山小屋で食べさせてくれる。

今回は時間的に店が終了間近だったので「そば」は次回にして「わさびふりかけ」を買った。

ほんとのところは木製の「ふくろう」の置き物が欲しかったのだが(笑)、これも次回に買うことにした。










水車小屋の所から護聖寺の参道石段が昇っている。




護聖寺境内に岩屋観音の由来板があった。


ここの観音仏の成り立ちを簡単にまとめると、鍾乳洞の洞内に木彫の観音仏を安置した。

一千有余年の歳月を経て、鍾乳洞から落ちる水滴によって木彫仏が化石化した物、ということになる。


護聖寺の由来には毛利が絡んでいるが、どうもあの人は吹きが多くて(笑)、

古代からのつながりを研究する歴史家の私としては、記録で出会いたくない人物でもある。

護聖寺は古代から現在地に在って、それに受恩庵を合わせた、と見るのが正しいだろう。




(写真・岩屋観音窟)

上写真、撮影者の左手側に護聖寺があるも、今回は撮影を見送った。




洞窟内に入って参拝できるようになっている。

夏の炎天下から洞窟内に入ると、ヒンヤリとした感じがあり、自然のエアコンだ。

写真のフラッシュ撮影では観音仏上部(天上部)の石のツララまで再現できなかったが、

その有り様を古文書では次のように記している。(私の文章とは雲泥の違いはあるも載せておく)。^^。


「前文略〜〜〜まず前程数十段の隔梯を登れば仁王門あり、それより入ること数十歩にして天に一の穴あり、
是供に光を洩らす、この故に洞中の巨細分明に露れ(あらわれ)、峨々たる岩石すべて滑らかにして、
空より寶蓋(ほうがい・天蓋の意味)を降したるが如き、五雲一時にたなびいたるに似て、重々無尽の彩り、
金碧所成に程を超えたる形勢なり、〜〜以下略」






岩屋観音の上の方にも洞窟があるので行ってみよう。




この登山道で夏の汗がドッと出た。

うぅっ、着替えを持って来ていない(笑)。





洞窟への道案内板などは特に無く、

見当を付けて登って行くと、それらしい穴が見えて来た。

立て看板に○○院とかあったが、文字が消えて見えず。




洞窟開口部の高さは人が立ったままなんとか入れる。




言うまでもなく真っ暗闇の暗黒の世界。

最初から逃げ腰で、数メートルも入って断念。^^。^^。

懐中電灯を持参すると楽しめるかも・・・。

この穴と思われるのが古文書に記載してある。


境内の大穴
縦 七尺五寸余り
横徑 四尺余り
先年この穴に入り候者もありし由申し伝う、
凡そ行程壹里もありし哉と相見え、就中廣所は拾間四面もありし、
狭きは貳尺ばかりにおいて、通り難きほどの所もありし、
そのほか上り下りの険しき所、大に水溢れ候所もありし由にて、
如何なる由縁ありし候穴とも知る者無きし候。



かって、この近隣では錫の鉱山があった。

次に来る時には錫の鉱山跡も訪ねてみたいと思う。






これらの動物の内、私がまだ自然のなかで見たことのないのが

「ふくろう」です。動物園でしか見たことがないので、

一度自然のなかのふくろうに出会ってみたいものです。






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