残像



窓の向こうを

二両編成の電車が

駆け抜けて行く

去って行く秋を乗せて

電車のなかは

秋の客と冬の客


あったかそうな

セーターを着た女のコが

ほんの一瞬

ぼくの方を見た



ぼくは部屋の窓から

笑顔を贈る間も無く



通り過ぎた残像を

何度も見ている









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