雪影



我が家から
駅へ行くまでの途中
小さな丘がある

二月の
ある積雪の朝
一年に一度
あるか無いかの
電車通勤をした

夜明け前
まだ薄暗い
雪明かりの丘を
登って行く

途中でふと振り返ると
暗闇の向こうに
暁の稜線が冷えびえと
横たわっていた



粉雪の舞う帰り道
丘には今朝踏みしめた
自分の靴跡が
点々と残っていた

ふと立ち止まると

向こうから
寒そうに背を丸めて
一歩一歩登って来る
自分の姿があった









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