十月のラプソディー



南の風が西の風に変わる頃

藁が香ってくる

幼い頃 藁の香りは嫌いだった

藁が香る頃には

南へかたむいた太陽が

稲の切り株に長い影の尾をつくるから

寒そうで辛そうな長い影の尾をのばして

筵に寝っ転んで読んだサンデーの少女は

あまりにも美しく

藁を知らない笑顔で微笑んでいた


藁の香りは嫌い いまでも嫌い

これからもずっと

嫌い









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